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見慣れた医務室に見慣れた輸血の管
だがいつもと違うのは横にルチルがいる事。

「歯の治療は慎重にするんだぞ、食屍鬼の命だからなあ。
というのも生え変わるたあ言え個体差がある。
ほっといて再生させんのが一番だが
あえて専属の医師付けて投薬治療やらなんやらさせて
徹底管理させる手とかもある。
あ、間違っても入れ歯差し歯はするんじゃねーぞ。
生え変わりの邪魔にしかならねえ。
あのスーさんだってオール自前だしなあ」
「へえ、歯の扱いについては初耳ですよ。
教えてもらえて良かったです。
ところでスーさんとはどなたでしょうか?」
「私の事だよお」

タブレット片手に入室してきたのは
患者でもないのに私達よりも顔色が悪い
スーさんこと大先輩スーパーセブン。
粘り気の強い笑みから見える歯並び…というか
牙は強靭そうで、肉に喰らいついたら離さなさそうだ。

「ルチルくんはじめましてえ
君がいるとラピスラズリもいいこになるねえ」
「はじめまして!お会い出来て光栄です!」

うんうん頷いてから…
ルチルへ向けていた視線が徐にこちらに変わる。

「『愚落』は完全に撤退したみたいよ。
物分りの良いヒトで良かったねえ。
あの辺はすぐにでも開拓されて、居住区に変わるってさ。」
「へえ、居住区ね。今度冷やかしに行くか」
「冷やかしに行く前にい
燃料代と入院費用二人分と経費対象外行為の罰金支払いとお………」

つらつらと金の請求が始まった…!

「おいおいおいスーさん?!
私は活躍したから免除にならないんです?!
あと入院費二人分ってどういう事?!」
「活躍した以上にやんちゃしちゃったって事。
燃料費は私との約束だし最近バカ高くて
ドライブも渋っていた程だったんだよねえ。
入院費はあ、アイちゃんも言っていたけど
『お前の札のせいでルチルの無謀な進行を招いたからお前が払え』
だってえ」

あの目玉妖怪め、私の懐が冷える…
しかしだが、私には札が……

「あ、お札と言えばあ、君だいぶ撃たれたじゃない?
銃痕と血糊で紙が8割くらいダメになっていたよ」
「マジかよおおお?!」
「アイちゃんさんってどなたでしょうか?」
「ケチな目玉妖怪だよちくしょー!!」
「こらこら、そんな事言うならお札剥がしちゃおうかな」
「うわああああ?!」

この人に逆らえない最もたる理由がこれ。
解呪の異能力者なので本来は術者である私以外剥がせない札も
この人は強制的に剥がせてしまう。
あらゆる数値が最底辺で半身も起こせない現状、札無しは死を意味する…!

「はあ全く…
まあいいか、2割残ってるんなら時間は掛かるが持ち直せるか…」
「ピースの異能は素晴らしいですからね!
良ければ復旧活動のご助力、僕にもさせてください!」
「る、ルチル…助力はありがたいが
なんだその、私への愛称なのか……?」
「え?あの時言ったじゃあないですか。
貴方の素晴らしい能力は平和を齎す物だから
それに肖ってピースとお呼びしますねと」

なんてえネーミングセンスしてんだこいつは!
恥ずかしすぎて死ぬ、死にたい、私を殺せっ……!!!!
ああ悶える私を見てスーさんが
いつにも増して気持ち悪い笑みしているし
ペットならしいよくわからねえ蟹まで飛び出してやがるし……

「なんにせよ、ルチルくんとは長〜い付き合いになると思うなあ」
「上がまたなんか勝手な構想でも始めましたかい?
まあ一緒にいると面白いから構わんですけど」
「僕も、ピースといる時が一番楽しいですね!
頼もしい親友ができて僕も鼻が高いです!」
「うおおおお殺せえええ!!!!」
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