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「ラピスラ〜ズリ」

間の抜けたような声で呼ばれた。

「いやあ、病床以外で会うなんてねえ。相変わらず顔色が悪いねえ。」
「スーさんには敵いませんね」

事実、青白い顔で腰曲がりで益々爺臭くなってきた。
スーさんこと大先輩スーパーセブン、相変わらず気持ち悪い笑顔で迫ってくる。

「鉄分足りてるかぁい?」
「レバー食ったばっかですから」
「や~っぱりまた人を無闇に襲ったな〜??」
「ぐぎゃー?!たんまたんま!!」

貧血上がりにヘッドロックはキツい。
古株食屍鬼の腕力は強く、この人も同様。
病み上がりでなくとも恐らく敵わない。

意識がトぶ寸前で解放してもらった。

「んもう、駄目だぞう。
アイちゃんに心配させちゃあ」
「ふん、スーさんが言ったって今回は特に譲れないですよ」
「君はルチルくんが相当気に入ったんだねえ。」
「そりゃあ、もう」

と、乗せられるように話し込んでしまった。
確かに、たった一夜飲み交わしただけなのに
この想い入れ様は何なのだろうか?
大先輩はうんうん頷き相槌を打ちながら静かに聞いてくれた。

「彼の事をよ〜く見ていたんだねえ」
「いちいち反応するから、見るのが面白くて
つい話題を振りたくなるんですよ」
「ふふ、良きかな良きかな…」

にちゃあ、と粘り気の強い笑み…
この人のこの表情は極めて愉快な気分の時の顔だ。

「彼の事を尋ねてもね
だいたい呪いの恐ろしさにしか触れられないんだ。
彼自身の事はあまり聞けないの。
でも良い子そうじゃあないか」
「良い奴ですよええ。
ちょっとズレた所もあるけど、でもアホなわけではなくて
情報や常識を与えられてない感じでしたね。」

思い返してみれば、あれだけ物に溢れた部屋だったのに
テレビや端末等といった情報媒体らしき物は見当たらなかった。
暇を持て余しそうな…いや実際持て余していたのだろう。

「彼も喜んでいたと思うよ。
戦の合間に絡んでくれる人もろくにいなかったみたいだしい」
「……戦?」
「あら、聞いてなかった?
まあ規模自体は大した事ないんだけどねえ
どちらかと言えば内輪モメが厄介な勢力に雇われてるんだ、ルチルくん。」

本人が言ったような言ってないような、その時は聞き流していた。

「もしかしたらあ、危ないかも」
「………どういった意味で?」
「ルチルくんの身が」
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