蟹〜
我々が思っていた以上にノゼアンはタフネスである。
彼が特別鍛えられているのかもしれないが……
だとしても谷の先住民が外部の者に遅れを取ったのが妙だ。
「なんて言うか忘れたが空飛ぶ小型の機械あるだろ。
たまに来るんだが、大体飛んでるだけだが撃ってくる時もある。」
「一般人に兵器を使うとはけしからんね。」
兵器を用いる以上兵隊崩れ級が関わってると見て良いか。
この立地の条件があまりにもよろしくない場に固執する理由…
「流れが激しいだけあって水質が良いんだってよ。
沸かさなくても飲める。
あと色んな物資が流れ着くし
水流で抉られた所から掘り出し物が見つかる事もあるし。
遺物だとか天然資源だとか、まあ小さい『楽園』みたいなもんだ。」
「よく喋るな」
「もうなんも言わねえ!!」
拗ねてしまったようだ。
貶したつもりは毛頭無かったがこれは扱いには気をつけねばなるまい。
コスモ君やタク君とはまた違う稚さが垣間見える。
『最後の楽園』を例えに用いようとしたセンスを褒めようとしたのに。
険しい悪路…土砂崩れが起きやすい脆い地面もあれば
硬くて脆いばかりに整備加工に不向きな岩盤の数々。
足を取られる一方で僕とノゼアンを先頭に後に続く人員も
だいぶ限られる、厳しい状況であった。
「……君の話からある程度敵の像に目星が付いたよ。」
「へえ、一体………オイ何のつもりだてめえ、騙したのか?」
そう言われても仕方がない、話の途中で
彼が振り向いて見えたのが
僕が人差し指を向ける『撃つ』合図であったから。
「騙してなんかいないさ、ホシが空にいるからさ。」
「あ??」
指先から放たれる閃光。
狙った先は、ノゼアンの頭頂部より少し高い角度に飛んでいた
ホシこと異形である。
滑空していた相手の皮膜を貫いた事により
高度は即乱れて堕ち、激流に飲まれる。
「な、なんだよあれ……」
「空飛ぶ異形…もとい異形化した人間。
『無明の繭』でよく見られるタイプだな。
服を着ていたし、流れに対処もできず
何より君も見た事が無いと言うのなら
野生の存在ではないはずだ。」
「巣も餌もない此処で鳥も虫もいやしねえよ。」
「巣ならぬ住まいを作れたのが此処にいた人、先住民なのだろう?
奴等はそこを拠点にしているはずだ。」
「ちっ、『繭』なだけにとんだ寄生虫に目をつけられちまったな。」
舌打ちしながら軽快に跳んで移動していく。
先導はするが後続を待ちも手助けもしない。
変化し続ける地形では行ける所を行ける時に行くしかないのだ。
ノゼアンが団体行動が出来ないわけでは決してない。
驕った態度を見せた者からあの異形の二の舞になる。
…それにしても本当に険しい環境だ。
剣技が通用し難い事を想定して
ノゼアンと僕を遣わせたとしたなら
王の先見の明には恐れ入る。
「あ、また飛んでる奴が!」
此処で面白いのは下は激流なのに対して
空の風の流れは緩やかな点。
なので皮膜で滑空するタイプだと
遅い上に単純に的が大きく、狙い撃ちが容易に可能だ。
同じ様に閃光で貫き撃墜するが
歩み進むにつれてその頻度も増してきた。
「近いのだろうな…」
「さっきから撃ちまくってるけど消耗してねえのか?」
「これくらい問題無いさ。君こそどうだ?」
「むしろ調子良いぜ、体が温まってきた所だ。」
鋭い目付き。憂さ晴らしに殴る理由が欲しかったと思われる。
あの気迫と経歴から、見慣れない者は殴り殺すつもりだろう。
場合によりけりだが僕は止めないし咎めない。
逆に『無明の繭』相手の可能性があるのに
怖じ気つかない点には関心した。
彼が特別鍛えられているのかもしれないが……
だとしても谷の先住民が外部の者に遅れを取ったのが妙だ。
「なんて言うか忘れたが空飛ぶ小型の機械あるだろ。
たまに来るんだが、大体飛んでるだけだが撃ってくる時もある。」
「一般人に兵器を使うとはけしからんね。」
兵器を用いる以上兵隊崩れ級が関わってると見て良いか。
この立地の条件があまりにもよろしくない場に固執する理由…
「流れが激しいだけあって水質が良いんだってよ。
沸かさなくても飲める。
あと色んな物資が流れ着くし
水流で抉られた所から掘り出し物が見つかる事もあるし。
遺物だとか天然資源だとか、まあ小さい『楽園』みたいなもんだ。」
「よく喋るな」
「もうなんも言わねえ!!」
拗ねてしまったようだ。
貶したつもりは毛頭無かったがこれは扱いには気をつけねばなるまい。
コスモ君やタク君とはまた違う稚さが垣間見える。
『最後の楽園』を例えに用いようとしたセンスを褒めようとしたのに。
険しい悪路…土砂崩れが起きやすい脆い地面もあれば
硬くて脆いばかりに整備加工に不向きな岩盤の数々。
足を取られる一方で僕とノゼアンを先頭に後に続く人員も
だいぶ限られる、厳しい状況であった。
「……君の話からある程度敵の像に目星が付いたよ。」
「へえ、一体………オイ何のつもりだてめえ、騙したのか?」
そう言われても仕方がない、話の途中で
彼が振り向いて見えたのが
僕が人差し指を向ける『撃つ』合図であったから。
「騙してなんかいないさ、ホシが空にいるからさ。」
「あ??」
指先から放たれる閃光。
狙った先は、ノゼアンの頭頂部より少し高い角度に飛んでいた
ホシこと異形である。
滑空していた相手の皮膜を貫いた事により
高度は即乱れて堕ち、激流に飲まれる。
「な、なんだよあれ……」
「空飛ぶ異形…もとい異形化した人間。
『無明の繭』でよく見られるタイプだな。
服を着ていたし、流れに対処もできず
何より君も見た事が無いと言うのなら
野生の存在ではないはずだ。」
「巣も餌もない此処で鳥も虫もいやしねえよ。」
「巣ならぬ住まいを作れたのが此処にいた人、先住民なのだろう?
奴等はそこを拠点にしているはずだ。」
「ちっ、『繭』なだけにとんだ寄生虫に目をつけられちまったな。」
舌打ちしながら軽快に跳んで移動していく。
先導はするが後続を待ちも手助けもしない。
変化し続ける地形では行ける所を行ける時に行くしかないのだ。
ノゼアンが団体行動が出来ないわけでは決してない。
驕った態度を見せた者からあの異形の二の舞になる。
…それにしても本当に険しい環境だ。
剣技が通用し難い事を想定して
ノゼアンと僕を遣わせたとしたなら
王の先見の明には恐れ入る。
「あ、また飛んでる奴が!」
此処で面白いのは下は激流なのに対して
空の風の流れは緩やかな点。
なので皮膜で滑空するタイプだと
遅い上に単純に的が大きく、狙い撃ちが容易に可能だ。
同じ様に閃光で貫き撃墜するが
歩み進むにつれてその頻度も増してきた。
「近いのだろうな…」
「さっきから撃ちまくってるけど消耗してねえのか?」
「これくらい問題無いさ。君こそどうだ?」
「むしろ調子良いぜ、体が温まってきた所だ。」
鋭い目付き。憂さ晴らしに殴る理由が欲しかったと思われる。
あの気迫と経歴から、見慣れない者は殴り殺すつもりだろう。
場合によりけりだが僕は止めないし咎めない。
逆に『無明の繭』相手の可能性があるのに
怖じ気つかない点には関心した。
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