蟹〜
施錠された部屋には思った通り
難民と先住民が監禁されていた。
毒耐性の強さから劇物を用いる薬物から兵器まで作らされた難民。
人質兼薬物被験者にされ、あられも無い姿で倒れていた先住民。
元王子ゴヨクは此処を拠点に同志と武力を密かに募り
『縢りの手』への襲撃も企てていたらしい。
情報証拠となりそうな端末機器は
文字通り触れた途端に、電源も押していないのにウィルス発動。
内部から破損してしまったので
その話は生存者達の話を統合させたものである。
それにしても……
『こういう時こそアバターの出番では?』
と僕でさえ思っていた矢先に、ローカルながらも堅実なこの対策で
王ことセプタリアン氏がここまで読んでいた上で
ノゼアンを筆頭にした救出作戦だったなら、心から感服致す…
「約束と違うじゃねーか!!」
と、再び枷を付けられながら牢屋で憤慨しているノゼアン。
「解放するとは言ってないじゃないか。
3分の1も減刑してもらったんだぞ?」
「言われねえとわかんねーわ!!
それと、俺は聞いていたからな!
土地与えるとか言っていたくせに
実際貰ったのはてめぇの方じゃねーか!!」
「確かに報酬という形で僕が領土を分け与えてもらったが
僕には領土は必要ない。
君に管理させ、責任だけ僕が担うと言った形で君にやるよ。
変幻谷をな。」
「えっ」
「それとほら、コーリ氏解凍の証拠として
本人から直筆サインと指紋を貰っておいたぞ。
身内である君の確認が済み次第本人と後日面会ができる。」
端末機器で表示された身分証明書を提示。
ノゼアンは食い入る様に見てから、鉄格子の隙間から手を伸ばして
サインと指紋付けを済ます…
「本当に全部持ってきやがったんだな…
あんたは何かいらねえのか?」
「僕はまだ定まっていない、と言った所だ。」
「ちっ、欲の無え奴…」
端末機器をしまい込み、聞き流す…
「…大将の事は聞かねえのか?」
「大将?」
「ウォータードロップを俺はそう呼んで…うわっ?!」
鉄格子に張り付くように迫る俺に引いている。
「……な、なんだよ驚かせやがって。」
「教えてくれ、奴の事。
些細な情報でもいいし、奴の感想でも良い…
何処に惹かれたとか、いくらでも…」
「そ、そんなに気になるのか?」
「僕が愛した人の仇だ。」
思えば今の今まで
奴への復讐心を軸に生きていると言っても過言ではなかった。
放心状態でいた俺に居場所を与え
且つこの復讐心を燃え滾らせたまま
見守り、時に焚べるように力添えをしてくださった
セプタリアン氏に従うのにそれ以上の理由はない。
………奴の事を聞き出す前に
そんな本音をノゼアンの前で吐露してしまった。
僕はこういう時の自分の顔を確認した事ないのだが
なかなか酷い形相をしているらしい。
ノゼアンもドン引きの…ん?
「ゾクゾクしたわ、体の芯に響いたような感覚だったぜ…
イイ顔するじゃねえか…」
高揚した笑みを浮かべている…
「大将があんたに殺されかけたのに
惚れ込んだ訳が判ったかもしれねえ。
…いや、今度からあんたを大将と呼ぶか。」
「なんだって?僕を??」
「仲良くしようや、大将。」
下側から手を広げて見せている…
下でに出ている……
肉刺が目立つ厳つい手、武器を握り続けた証。
「欲に素直な時の顔は一番人格が見えてるもんだ。」
「欲ね……おかしいな、僕はいつもバレないように
こっそり動画や漫画を見漁っていたんだが」
「それは顔じゃなくて音で漏れていたんだが??
あれはわざとじゃなかったのかよ?!」
お互い下品な笑い方をしながら手を取り合う。
ああ、○○。
お前以来の良い人間のパートナーが見つかった気がするよ。
難民と先住民が監禁されていた。
毒耐性の強さから劇物を用いる薬物から兵器まで作らされた難民。
人質兼薬物被験者にされ、あられも無い姿で倒れていた先住民。
元王子ゴヨクは此処を拠点に同志と武力を密かに募り
『縢りの手』への襲撃も企てていたらしい。
情報証拠となりそうな端末機器は
文字通り触れた途端に、電源も押していないのにウィルス発動。
内部から破損してしまったので
その話は生存者達の話を統合させたものである。
それにしても……
『こういう時こそアバターの出番では?』
と僕でさえ思っていた矢先に、ローカルながらも堅実なこの対策で
王ことセプタリアン氏がここまで読んでいた上で
ノゼアンを筆頭にした救出作戦だったなら、心から感服致す…
「約束と違うじゃねーか!!」
と、再び枷を付けられながら牢屋で憤慨しているノゼアン。
「解放するとは言ってないじゃないか。
3分の1も減刑してもらったんだぞ?」
「言われねえとわかんねーわ!!
それと、俺は聞いていたからな!
土地与えるとか言っていたくせに
実際貰ったのはてめぇの方じゃねーか!!」
「確かに報酬という形で僕が領土を分け与えてもらったが
僕には領土は必要ない。
君に管理させ、責任だけ僕が担うと言った形で君にやるよ。
変幻谷をな。」
「えっ」
「それとほら、コーリ氏解凍の証拠として
本人から直筆サインと指紋を貰っておいたぞ。
身内である君の確認が済み次第本人と後日面会ができる。」
端末機器で表示された身分証明書を提示。
ノゼアンは食い入る様に見てから、鉄格子の隙間から手を伸ばして
サインと指紋付けを済ます…
「本当に全部持ってきやがったんだな…
あんたは何かいらねえのか?」
「僕はまだ定まっていない、と言った所だ。」
「ちっ、欲の無え奴…」
端末機器をしまい込み、聞き流す…
「…大将の事は聞かねえのか?」
「大将?」
「ウォータードロップを俺はそう呼んで…うわっ?!」
鉄格子に張り付くように迫る俺に引いている。
「……な、なんだよ驚かせやがって。」
「教えてくれ、奴の事。
些細な情報でもいいし、奴の感想でも良い…
何処に惹かれたとか、いくらでも…」
「そ、そんなに気になるのか?」
「僕が愛した人の仇だ。」
思えば今の今まで
奴への復讐心を軸に生きていると言っても過言ではなかった。
放心状態でいた俺に居場所を与え
且つこの復讐心を燃え滾らせたまま
見守り、時に焚べるように力添えをしてくださった
セプタリアン氏に従うのにそれ以上の理由はない。
………奴の事を聞き出す前に
そんな本音をノゼアンの前で吐露してしまった。
僕はこういう時の自分の顔を確認した事ないのだが
なかなか酷い形相をしているらしい。
ノゼアンもドン引きの…ん?
「ゾクゾクしたわ、体の芯に響いたような感覚だったぜ…
イイ顔するじゃねえか…」
高揚した笑みを浮かべている…
「大将があんたに殺されかけたのに
惚れ込んだ訳が判ったかもしれねえ。
…いや、今度からあんたを大将と呼ぶか。」
「なんだって?僕を??」
「仲良くしようや、大将。」
下側から手を広げて見せている…
下でに出ている……
肉刺が目立つ厳つい手、武器を握り続けた証。
「欲に素直な時の顔は一番人格が見えてるもんだ。」
「欲ね……おかしいな、僕はいつもバレないように
こっそり動画や漫画を見漁っていたんだが」
「それは顔じゃなくて音で漏れていたんだが??
あれはわざとじゃなかったのかよ?!」
お互い下品な笑い方をしながら手を取り合う。
ああ、○○。
お前以来の良い人間のパートナーが見つかった気がするよ。
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