蟹〜
何かあってもスフェーンには無理して捜索に来ないように。
逆にカコにはレコードキーパーに報せてから来てほしいと
其々に言い残してから単身遺跡に向かった。
何が正解になるかは判らない…だが
内部から出入口を異能により蓋をしたというか扉を設けたというか。
サニディンさんは『直方体』空間を操ると同時に
其処にしか居られないという特性があるようなので
関連する動作の試行したまでである。
すると広間の空気が変わったではないか。
俺が生じさせた異能の『平面』は
異次元への出入口孔ではあるが物理的影響はなく
通気や光を遮断するのは本来ではあり得ない。
そんな違和感を実感しながら周囲を見渡していたら…
…その肌や毛色には馴染みがあり
服装も複製魔族特有の制服のようである。
65人いる食屍鬼の誰にも当てはまらないのは確かだが
一体何者なのだろうか?
「…ど、どうも。中に人がいただなんて気づかなかったなあ。
俺は遺跡の調査に来たビスマスっていう者で………」
「そう、ビスマスっていうのね。」
「えっ」
我が目を疑った。
『平面』は設置した後は細工でも施さない限りは
自発的な縮小・隠蔽・消失はあり得ない。
だが今となっては堅く閉ざされた石扉……
いや石壁しか見えないではないか。
再び異能を発揮しようにも手応えがない。
「ま、まさかさっきの人に……?!
やられた…!!うわぁなんてこった!」
移動は勿論だが『平面』には武器諸々収納をしていたので
密室で孤立した上に完全無防備となった。
破壊行為も御法度、最も腕力が通用する状態か怪しいが。
とにかく暗闇に消えたあの人を捜すしかない。
………奥に、地下に、誘われる。
分かれ道があったとしても短く、ほぼ一本道。
…と、思った矢先に大広間に出てしまう。
片手では数えるに収まらない数の行き先。
総当りで行くのはあまりにもリスクが高い。
のんびりしていられないのは酸欠や食糧問題以前に…
「何………??」
不気味な青い肉塊がいくつか漂っている。
肉腫に臓器が飛び出たようなそれは
どうにも此方に近寄っている気がしなくもない。
後が無い以上襲撃されるわけにはいかない。
此方も腐っても食屍鬼、迎撃のため
格闘で追い払うも噛みちぎるも構わないが
「ねえ」「ねえ」
悩んでいたそのときに重なる幼い声が突如響く。
振り向くとそこにいたのは…
その肌や毛色には馴染みがあり
服装も複製魔族特有の制服のようである。
65人いる食屍鬼の誰にも当てはまらないのは確か…
「どういう事?!」
説明無く足の無い双子に誘われるまま奥に行く。
高台の上に見えた長椅子。いや、玉座か?
其処に腰掛けていた者は………
女性型が存在しているあたり
食屍鬼の肉体の皮1枚を被って
形成されているような、そんな特異な存在なのだろう。
世界の裏側とも言える逆位置。
此処には原初から規定量ある情報が不変に詰まっていたが
サニディンさんが『死んだ事実』を変えるために
切り込み分けた空間により
規定量を超過し、その影響が逆位置にまで及んでしまった…
本来肉体を持たぬ者達が
彼の肉体情報を参照してしまい
青肌銀髪黒白目の人型もしくは青い肉塊と化したという。
「………随分ご存知みたいですが、何故?
貴方も俺達と同系統の異能力者かな?」
「君の大先輩が教えてくれたんだと思う。
肉体を得たと同時にそんな話がふわりと沸いてきてね。」
始終ふわついているような気もするが
そもそもサニディンさん自身が説明下手な節があり
むしろこの人はまだ言語化できている方だ。
「いやそれより、サニディンさん本人もしくは遺体に会いました?
俺はあの人を回収しに此処まで来たんです。」
「遺体ならあるよ。」
「!?」
逆にカコにはレコードキーパーに報せてから来てほしいと
其々に言い残してから単身遺跡に向かった。
何が正解になるかは判らない…だが
内部から出入口を異能により蓋をしたというか扉を設けたというか。
サニディンさんは『直方体』空間を操ると同時に
其処にしか居られないという特性があるようなので
関連する動作の試行したまでである。
すると広間の空気が変わったではないか。
俺が生じさせた異能の『平面』は
異次元への出入口孔ではあるが物理的影響はなく
通気や光を遮断するのは本来ではあり得ない。
そんな違和感を実感しながら周囲を見渡していたら…
…その肌や毛色には馴染みがあり
服装も複製魔族特有の制服のようである。
65人いる食屍鬼の誰にも当てはまらないのは確かだが
一体何者なのだろうか?
「…ど、どうも。中に人がいただなんて気づかなかったなあ。
俺は遺跡の調査に来たビスマスっていう者で………」
「そう、ビスマスっていうのね。」
「えっ」
我が目を疑った。
『平面』は設置した後は細工でも施さない限りは
自発的な縮小・隠蔽・消失はあり得ない。
だが今となっては堅く閉ざされた石扉……
いや石壁しか見えないではないか。
再び異能を発揮しようにも手応えがない。
「ま、まさかさっきの人に……?!
やられた…!!うわぁなんてこった!」
移動は勿論だが『平面』には武器諸々収納をしていたので
密室で孤立した上に完全無防備となった。
破壊行為も御法度、最も腕力が通用する状態か怪しいが。
とにかく暗闇に消えたあの人を捜すしかない。
………奥に、地下に、誘われる。
分かれ道があったとしても短く、ほぼ一本道。
…と、思った矢先に大広間に出てしまう。
片手では数えるに収まらない数の行き先。
総当りで行くのはあまりにもリスクが高い。
のんびりしていられないのは酸欠や食糧問題以前に…
「何………??」
不気味な青い肉塊がいくつか漂っている。
肉腫に臓器が飛び出たようなそれは
どうにも此方に近寄っている気がしなくもない。
後が無い以上襲撃されるわけにはいかない。
此方も腐っても食屍鬼、迎撃のため
格闘で追い払うも噛みちぎるも構わないが
「ねえ」「ねえ」
悩んでいたそのときに重なる幼い声が突如響く。
振り向くとそこにいたのは…
その肌や毛色には馴染みがあり
服装も複製魔族特有の制服のようである。
65人いる食屍鬼の誰にも当てはまらないのは確か…
「どういう事?!」
説明無く足の無い双子に誘われるまま奥に行く。
高台の上に見えた長椅子。いや、玉座か?
其処に腰掛けていた者は………
女性型が存在しているあたり
食屍鬼の肉体の皮1枚を被って
形成されているような、そんな特異な存在なのだろう。
世界の裏側とも言える逆位置。
此処には原初から規定量ある情報が不変に詰まっていたが
サニディンさんが『死んだ事実』を変えるために
切り込み分けた空間により
規定量を超過し、その影響が逆位置にまで及んでしまった…
本来肉体を持たぬ者達が
彼の肉体情報を参照してしまい
青肌銀髪黒白目の人型もしくは青い肉塊と化したという。
「………随分ご存知みたいですが、何故?
貴方も俺達と同系統の異能力者かな?」
「君の大先輩が教えてくれたんだと思う。
肉体を得たと同時にそんな話がふわりと沸いてきてね。」
始終ふわついているような気もするが
そもそもサニディンさん自身が説明下手な節があり
むしろこの人はまだ言語化できている方だ。
「いやそれより、サニディンさん本人もしくは遺体に会いました?
俺はあの人を回収しに此処まで来たんです。」
「遺体ならあるよ。」
「!?」
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