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「カコ君の御兄弟が来るなんてびっくりしたねえ。
ようこそ、三葉村へ。賑やかになって嬉しいよ。」



爽やかに歓迎してくれた彼こそが案内人スフェーン。
正確には兄弟ではないけど、文化レベル的に複製は通用しないし
同じ顔をした者がいる以上そう誤魔化すしかない。
…この人はこの人で、エルフの割に恵まれた体型なのが気になるが。

「遺跡について調べたいんですけど…
現場には入れましたかな?」
「まず現場を案内しよう。
立入禁止にはしてないけど何せ古い建物だからね。」

見るだけなら自由。
中まで入ってじっくり観たい観光客
或いは詳しく調べてみたい探索者達からは
破壊行為をしない事と『御気持ち』を約束してもらう、とのこと。

「遺跡には遺物がそれなりにあった。
硬貨や聖杯なんてあったけど、ほとんど盗み出されたんだ。」
「罰当たりだなぁ」
「そう、罰が当たった。
盗人は皆不幸に遭い、亡くなり、遺物も行方知れず。
規制線は張ってないけど多少規制が設けられたのはそれからさ。」

風評被害を防ぐ為、そんな所であろう。
だが遺物を搾取された事に関しては咎めない欲の無さよ…

遺跡に到着した。
石造りの間取り的に、小城の廃墟といった所か。
屋根はないが天井が残った個室も少数ながら点在している。

「名前が無い、というか判らない。
文献も少しは遺されてるのにこの建物の名だけは何故か無いんだ。」
「文献とやらも後で見せてもらおうかな。」
「役場に行けば見れるよ、図書館と兼用してるんだ。
もっと詳しく此処を調べたくなったら
さっき言った『御気持ち』をその役場に出してね。」

つまり何にせよ今はまだ深入り出来ないと。
スフェーンも多忙の身、付きっきりにさせるわけに行かない。
『御気持ち』で誠意を示す事が互いの為になるというわけだ。
村へと引き返し、役場を目指す。


此処で今度こそ手応えがあったら良い…
そんな思いから、文献は隈なく目を通す。
築き上げられた本の山に役員は驚いていたが
作業をする時手元に関連する物がないと
落ち着かない性分故に…許してほしい。


『大昔から存在していた無名の小城』
『野盗に入られてから益々風化が加速、今に到る。
様々な宝飾品があったようだがほとんど消え失せた』
『天井の残る部屋には入ってはいけない。
何せ野盗ですら破壊より脱出を選んだのだから』
『人を見たとの噂もある。
火の点いていない松明を片手に歩く人だった。
でも顔が青くて人間と言い切り難い』

曖昧な記述が多いが辛うじて関連性が高そうな物を抜粋してみた。
内容もそうだが時系列も其々微妙に噛み合っておらず…
祟りによる記憶のぶれだろうか?
それとも(苦手な)あの先輩みたく記憶操作の類か?と疑う。
巨鳥騒ぎがここ最近の明確な異変。
あとは平和一投。スフェーンの武勇伝しかない。
やはり現場に行く必要がある。

「天井の残る部屋…出入口があれば立体空間化するもんな?
なあサニディンさん……」

大量の本をしまい、多額の『御気持ち』を納めて役場を後にした。
地道な作業が続く…だが無駄足でないのは確かだ……
というのもその『顔が青くて人間と言い切り難い人』と
カコが似ていた気がして驚いた
なんて曖昧な世間話にも辿り着けたから。
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