蟹〜
No.10ユークレースとNo.11ターフェアイトの遺伝子情報検出。
故カッセ発言から名称引用、『ツイン』
体長と重量は食屍鬼シリーズを凌ぐが
反面、器官諸々の機能が非常に弱く、脳も極小。
頭部で繋がった別の肉体は脳こそ大きいが
他臓器や骨は僅かしかなく血も通わぬミイラ状態。
死因は消化不良による臓器の損傷。
No.12ラピスラズリとNo.30エレスチャルの遺伝子情報検出。
白衣に付いていた名札から名称引用、『アメトリン』
食屍鬼未成熟個体並の小さい体長。
車両助手席で遺体確認。
ドライブレコーダーの記録と合わせて検証した結果
死因は(食屍鬼特有の人肉摂取不足による)衰弱死。
No.12アイアゲートとNo.18フリントストーンの遺伝子情報検出。
端末記録より名称引用、『ケセラストーン』
両目眼球は無いが額に大きめの眼球。
背中に巨大な口はあるが本来の口は機能しておらず背骨も無く
四肢の微弱な筋肉量からして這いずっていたと推測される。
箱内で既に息絶えていた。死因は酸素供給不足による酸欠。
No.19クンツァイトとNo.40バーナクルの遺伝子情報検出。
端末記録より名称引用、『K2ブルー』
魚を思わせる鰓が備わっていたが
肺構造や組織情報と統合した推測によると機能も魚類同様。
箱内で既に息絶えていた。死因は水不足による酸欠。
No.13レピドクロサイトとNo.28ラルビカイトの遺伝子情報検出。
端末記録より名称引用、『アベンチュリン』
後頭部に向かって脳が肥大化しており
その長い頭部を隠すように頭髪の毛が多量に発達。
下半身が巨大な芋虫状で、発見時壁に張り付いていた事から
虫のような機能と高い筋力が推測される。
死因は長時間屋外にいた事による体温上昇と脱水。
No.20カーネリアン(ジェムシリカと改名)とNo.39デザートローズの遺伝子情報検出。
本人より名称確認引用、『インカローズ』
体組織的には食屍鬼シリーズ同等だが
外観はほぼ無関係の女性に整形されていた。
施設内で関係者に成りすまして潜んでいたが捕獲。
死因は殴打による激しい打撲傷と下腹部の激しい損傷。
以上が現時点で回収できた情報である。
「アベンチュリンとインカローズは箱から抜け出して逃げていた?」
「そのようだね。」
「ちなみに、インカローズのこの死因は……」
「私がやったものだよ。
娘の服を盗み着して逃げ回っていたからついね。」
彼は複製魔族であるがマフィアのドンであると同時に
一族の父でもある。
警備に尽力しようと努めていたのは
表向きは祭典のためだが
実のところここ最近音信不通であった
娘を迎え入れるためでもあったのだと。
帰路に入っていた二人は話を纏めていた。
嘗ての製造スタッフが、合成された同胞を引き連れて
現れたというショッキングな出来事も
デザートローズの圧倒的暴力の前では
些細な狂気で終えてしまった事実を……
「溺愛していた彫師の娘、例の薔薇を彫ってから
相当経っていたけど行方知れずじゃ確かに不安だね。
行方が知れなかったら帰る場所を徹底させようと。
祭典に乗じて戻ってくれると思ったんだろうな。」
「なるほど。」
「…アイト、俺も君をそういう風に待たしてしまっていたかな。
それに『ツイン』を見ていたら複雑な気持ちになったよ…」
「複雑な気持ち、ですか。」
分離して良かったと思う一方で
こうして二人揃っても辛辣な記憶を覚え続けているのは
アイトだけなのだという苦悩である。
「ユー。」
「………え?そ、それ俺の事?」
「ええ、ユークレースのユーから取った略称、ニックネーム。
貴方がはなしてくれなければ、私は何も出来ないままでした。」
「アイト…」
「はなしてくれたからユーと呼べるのです。」
『ツイン』は、分離しなかった場合の未来の姿であったのかもしれない。
だが分離した自分達には個々があり、向き合い、助けあえている。
「ただ、貴方は帰る場所が複数あるのです。
それはどちらが欠けてもならない。
どちらも大事な物であると。
そのために奔走する事は、貴方の『自由』だし『優しさ』です。
私もそれを承知で過ごしています。」
膨大な情報、知識、経験…
いずれもアイトは負担ではなく糧として蓄えてくれていたのだ。
そして、答えを導き出してくれる……
「複雑な気持ち、解消されましたか?」
「ああ…とても…。いつもありがとう、アイト…」
故カッセ発言から名称引用、『ツイン』
体長と重量は食屍鬼シリーズを凌ぐが
反面、器官諸々の機能が非常に弱く、脳も極小。
頭部で繋がった別の肉体は脳こそ大きいが
他臓器や骨は僅かしかなく血も通わぬミイラ状態。
死因は消化不良による臓器の損傷。
No.12ラピスラズリとNo.30エレスチャルの遺伝子情報検出。
白衣に付いていた名札から名称引用、『アメトリン』
食屍鬼未成熟個体並の小さい体長。
車両助手席で遺体確認。
ドライブレコーダーの記録と合わせて検証した結果
死因は(食屍鬼特有の人肉摂取不足による)衰弱死。
No.12アイアゲートとNo.18フリントストーンの遺伝子情報検出。
端末記録より名称引用、『ケセラストーン』
両目眼球は無いが額に大きめの眼球。
背中に巨大な口はあるが本来の口は機能しておらず背骨も無く
四肢の微弱な筋肉量からして這いずっていたと推測される。
箱内で既に息絶えていた。死因は酸素供給不足による酸欠。
No.19クンツァイトとNo.40バーナクルの遺伝子情報検出。
端末記録より名称引用、『K2ブルー』
魚を思わせる鰓が備わっていたが
肺構造や組織情報と統合した推測によると機能も魚類同様。
箱内で既に息絶えていた。死因は水不足による酸欠。
No.13レピドクロサイトとNo.28ラルビカイトの遺伝子情報検出。
端末記録より名称引用、『アベンチュリン』
後頭部に向かって脳が肥大化しており
その長い頭部を隠すように頭髪の毛が多量に発達。
下半身が巨大な芋虫状で、発見時壁に張り付いていた事から
虫のような機能と高い筋力が推測される。
死因は長時間屋外にいた事による体温上昇と脱水。
No.20カーネリアン(ジェムシリカと改名)とNo.39デザートローズの遺伝子情報検出。
本人より名称確認引用、『インカローズ』
体組織的には食屍鬼シリーズ同等だが
外観はほぼ無関係の女性に整形されていた。
施設内で関係者に成りすまして潜んでいたが捕獲。
死因は殴打による激しい打撲傷と下腹部の激しい損傷。
以上が現時点で回収できた情報である。
「アベンチュリンとインカローズは箱から抜け出して逃げていた?」
「そのようだね。」
「ちなみに、インカローズのこの死因は……」
「私がやったものだよ。
娘の服を盗み着して逃げ回っていたからついね。」
彼は複製魔族であるがマフィアのドンであると同時に
一族の父でもある。
警備に尽力しようと努めていたのは
表向きは祭典のためだが
実のところここ最近音信不通であった
娘を迎え入れるためでもあったのだと。
帰路に入っていた二人は話を纏めていた。
嘗ての製造スタッフが、合成された同胞を引き連れて
現れたというショッキングな出来事も
デザートローズの圧倒的暴力の前では
些細な狂気で終えてしまった事実を……
「溺愛していた彫師の娘、例の薔薇を彫ってから
相当経っていたけど行方知れずじゃ確かに不安だね。
行方が知れなかったら帰る場所を徹底させようと。
祭典に乗じて戻ってくれると思ったんだろうな。」
「なるほど。」
「…アイト、俺も君をそういう風に待たしてしまっていたかな。
それに『ツイン』を見ていたら複雑な気持ちになったよ…」
「複雑な気持ち、ですか。」
分離して良かったと思う一方で
こうして二人揃っても辛辣な記憶を覚え続けているのは
アイトだけなのだという苦悩である。
「ユー。」
「………え?そ、それ俺の事?」
「ええ、ユークレースのユーから取った略称、ニックネーム。
貴方がはなしてくれなければ、私は何も出来ないままでした。」
「アイト…」
「はなしてくれたからユーと呼べるのです。」
『ツイン』は、分離しなかった場合の未来の姿であったのかもしれない。
だが分離した自分達には個々があり、向き合い、助けあえている。
「ただ、貴方は帰る場所が複数あるのです。
それはどちらが欠けてもならない。
どちらも大事な物であると。
そのために奔走する事は、貴方の『自由』だし『優しさ』です。
私もそれを承知で過ごしています。」
膨大な情報、知識、経験…
いずれもアイトは負担ではなく糧として蓄えてくれていたのだ。
そして、答えを導き出してくれる……
「複雑な気持ち、解消されましたか?」
「ああ…とても…。いつもありがとう、アイト…」
PR
Comment