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黒い方の下僕…いや従者は滅多に同行して来ない。
食屍鬼エレスチャルの従者クォーツもまた食屍鬼である。
ただ、彼は……

「エリーちゃん」
「ん?」
「鉱物酒と一緒にこれ、土産にどうだい?」

と差し出したのは独特なアーチ型のボトル。琥珀色の酒。

「なんじゃ?なんのつもりじゃい」
「コニャックのマーテル・シャンテルーだよ。
鉱物酒を作ったっていう君の友達にどうぞ」
「これも酒なのか、距骨みたいな形した変なボトルじゃのう」
「君は何でも骨に例えられるんだねえ」

サービスにしては高価な酒を渡すと
背後で座って待機していたクォーツの目の色が変わるのが見て取れた。
「貴族の酒なんだよね?クォーツ」
「ん〜ん??」

なんで酒を用意したのか、骨しか興味のない主は勘付いていない。

「窓越しに鳥を見ていたからさあ」
「なんか連想したのか?
まあええわ、クォーツ〜もう行くぞ〜」

荷を受け持つとエレスチャルの後を付けるように退店……
する前に此方を鋭い目で睨んできた。

「あ、正解だったみたいね」

反応が見られない時が所謂ハズレだ。
もう少し愛想良くてもいいものだが




カジュアルコーデを着こなし
スクリュー・ドライバーを嗜んでいるのは
食屍鬼ジェムシリカである。
一仕事終えてから立ち寄ってくれた、『元』同門。

「信仰着の丈夫さが改めて判ったわ、気に入ってたドレスなのに
ティッシュみたいにあっさり破けて汚れちゃって。
見せたかったのになあ」
「ああ、それで服買い直したんだ。仕事は済ませれた?」
「勿論。
今度同棲8周年になるしプレゼントも買ってから帰ろうかな」
「もうそんな経つのか、ついこの間
紹介されたばかりだと思ったのに早いねえ」

世間話で談笑をしていたが、突如響いた金属音が和やかな空気を断ち切る。

「あら、ごめんなさい」

と、拾い上げたのはナイフ…
と言うには長く鋭く重量感もあるエモノである。
小柄な者相手なら余裕で胸も腹も貫けるし
なんなら強度的に首を刎ねれるだろう。

「締りがなくなったかな?」
「ふふ、偶々よ」
「何本持っているんだい」
「私最低でもこのサイズは10本持っていないと
落ち着かないのよね」

相当な数、違和感なく隠す技術もそうだが
何より重量を感じさせないあたり
プロ以前に彼女から『男』を感じさせられた。




新米信者ゲーサイトは
赤錆のように汚れた毛に覆われた食屍鬼である。

「ん、おつかいかい?」

ケープ型信仰着に
リボンと共に括り付けられた物資を運んできたようだ。

「ゲーサイト、なんか呑む?」
「ん」

首を横に振る。

「酒は飲まないか、まあそうか。
んじゃあ何か食べてく?」
「う」

首を縦に振る。
彼はまだ喋れない。
獣分が強く、教養を得ずにしかも人を避けて放浪してきたため
人語を学ぶ機会を得られなかったのだ。
意思疎通出来れば十分と思い、ダイオプテーズ含めた周囲の者は
この後輩信者を温かい目で見守っている。

スモークの穀物に固めのパンを刻んで入れて混ぜた物を
皿に盛り付け、オリーブオイルと胡椒を少々掛ける。
そんな即席つまみ残りを床に置くと
ゲーサイトはすぐに犬食いし始めた。
彼の食生活ではこのスタイルが
正しいかはさておき最も気楽ならしい。
がっつきぶりから味は好評な模様…

「君の嗜好品が判ったら良いの用意してやるんだけどねえ
なんでも旨そうに食べちゃうからわからんね」

此方の都合で入信してもらったようなものだから
いくらでも礼を出してやりたい所なのだが
この子はどうも好き嫌いもなければ欲もなく、どうしたものか。

「んぐ……ふっ」
「うん?」

しゃっくり?満腹?
いや、違う。様子がおかしい。
ぐんにゃり力なく倒れた。
何か中毒になる物でもあったのか?
とも思ったが

「……あ〜もしかして」

皿から微かにアルコールの匂いがした。
酒など入れてない。

「発酵、させちゃったのね」

一つ摘んだパンから香るアルコール発酵臭。
ゲーサイトは無自覚で発動している異能がある。
その内容は『腐食や発酵を促す』という物。

彼は自分の異能で酔っ払ってしまったのだ。

「あ〜あ、食べながら寝ちゃった」

まあ喉を詰まらす程口には含んでないし良いかなと
上からそっと毛布を掛けてやりそのまま寝かせるのだった。




「あっ」

虚空から現れた手がお猪口とグラスを摘む。

「私は呼んでくるから、酒取っておいて。」

怪奇現象を前にして奥へと引っ込むダイオプテーズ。

カウンター席に置かれる冷えきった『善知鳥』。
お猪口とグラスに波々注がれている。
グラスの方は瞬く間に中身が消え、注がれ、中身が消え、注がれ………

「せっかちさんだねえ」
「なんだ、文句あるのか?」

天井に語りかけると高圧的な返事が帰ってきた。

「貴方は今何処にいた?」
「此処の西側にある廃ビル三階」
「其処か〜まあ誰も入らないし大丈夫か」

酒は飲み尽くされていた。

「貴方が呑みたいのはなんだろな」
「銘柄なんて知らんぞ」
「どういうのが良い?」
「辛口で度数が強くて煽りやすいやつ」
「じゃあジャック・ター作ろうっと」
「俺は水夫じゃないぞ」
「水夫の方が呑んでるのは泡盛だったね」
「それより強い酒なのか?」
「使ってるラムが余裕で強いよ」
「なら良いか」

謎の張り合いに巻き込まれた同門。

「二人分作って置いとくから、ごゆっくり」

空間を切り取る事で時空をある程度操り
基本的に彷徨っている食屍鬼サニディンが
来訪するといつもこの調子だ。
彼は造られて間もなく異世界ですぐに亡くなったが
死んだ事実を有耶無耶にするために
死んだその瞬間を切り取ってから
時空の歪みに延々巻き込まれている。
同じ日に出動し、亡くなったグアノは
彼が酒場に常駐する事を願い続けており
それは誰しも判っていたが誰も叶えられずに今にも至る。




「とても素敵な内装ですね!」

爽やかに褒め言葉を放つ彼は
一見スタンダードだがその若さと純朴さが
幼い眼差しに現れている少年のような食屍鬼ターコイズ。
以前来たコスモオーラとお揃いの装いなあたり
職業固有作業着なのだろう。
ちなみに彼の紹介で此処まで辿り着いたようだ。
「一人で外を歩く事はあまりなかったんで
見る物何もかもが新鮮で楽しくて…
で、この酒場を4回くらい通り過ぎてましたね!」
「脚が速いのか迷子の達人なのか或いは両方なのか。
それにしても一人で〜って、箱入り息子くんだったかな?」
「?
よく判らないけど、軍所属の時は屋内でずっとセプト…
セプタリアンにお世話になってましたね!」
「んん??聞き間違いでなければ『あの』セプタリアン?」
「?
セプタリアンはセプタリアンですよ?」

傍から見た印象だと、厳格な彼の元で
こんな柔和・穏和な好青年がいたというのが信じ難いが

「あの時は施設内の購買で安いお酒を買って
飲み合うくらいしかなかったな。
今はもうこんなおしゃれな瓶の美味しい白ワイン飲めてますけども」
「盃交わす程の仲なんてなかなかじゃないか」
「盃がなかったからビーカーと瓶直のみしかできませんでしたよ」
「ビーカー」

物凄い掘り出し物を得れた気分なので
純白のモッツァレラチーズをサービスしておいた。




『菜の花』を差し出す。
あの黄色くてかわいらしい花ではなく
ジンベースのカクテルである。

来客は犬のマズルみたいなマスクを取り外す。
その直後である。

「っくし!!」
「ぅん?花粉なんて入れてないよ?」
「だよなあ…俺の鼻過敏が過ぎる…」
「ストロー使う?」
「いやいや、酒飲むのにそりゃねえだろ。
くしゃみは鬱陶しいけど、酒の香りも嗜みたいから……」

オレンジジュースのフルーティで甘い香りの中に
溶け込むように淡く香る桃……
味を香りをちびちび嗜んでいるのは、食屍鬼タンザナイト。
とある特異な植物園の園長で
アザルシスでも貴重な植物を管理する能力と愛情は備えているのだが……

「っくしょん!!」
「あ〜あ、何処か花粉付いていたかな?」
「エアシャワー弱かったかな……」

犬の様な半身に加え、犬の様に俊敏且つ敏感な体質。
それ故かそれとも固有の体質かは定かでないが彼は花粉アレルギー。
特注のマスクが無いとくしゃみ地獄と気道の腫れ塞がりが生じて
途端に危険な状態になる。
難儀な男だ。

「あー、でも心当たりあるな」
「何?」
「薔薇の子とこの間あったんだ。『彼』と再会出来たって。
画像も見せてもらったんだけど、なんか顔色悪かったし
頭に枯れた勿忘草付ける奇抜なファッションしていたねえ。
でも彼岸花の香りは染み付いたままだった」
「………噂を嗅ぎ付けて此処に寄って正解だったな、もう少し詳しく教えてくれ」
「おかわりだね、はいよ」




桶を抱えて持ってきたのは食屍鬼タイガーアイ。
名前が物語るように、目のクマと顔に走る赤筋が
トラを思わせる面妖な面であり
桶を厳重に封した理由にも叶っている。

「それだけがっちりだと溢す心配もなかっただろうね」
「匂い漏れもね。でも発酵品なんだよな?
質に影響出ないかちょっと不安だな」
「大丈夫、多少呼吸出来なくても影響はないよ」
「まだ見ても飲んでもないのに確信はなんなんだろうな?」
「最強のトラが持ってきた曰く品、核心はそれで十分。」

桶の高い位置に横穴を開けると
赤とも黄色でも言い難い濁色の液体が
筒を通して雫となって盃の中に垂れて溜まる。
それを嗅ぎ、舐めて、そして一口煽る。

旧いはずなのに古臭さを感じさせない
濃厚ながら滑らかな舌触りで
甘美な香りが体内を包んでそして
腹の底を燃え上がらすように熱くする。
これはまさしく………

「八塩折の酒だ」
「………ん?え?
宿の名前言ってどうしたんだ?」
「モデルがこれってこと。何処にあったんだい?」
「畜生堂内の爬虫類部門側に、気付いたら湧いていたんだ。」
「へ〜、酒って気付いたのいつ?
めちゃめちゃ甘いしアルコール臭さが無いから
素人だと判りにくいと思うけど」
「見かけた前後から獣達の様子が怪しいし
物珍しさに飲んだ会長が不調になったし、何より……
触れただけで俺の記憶が何回かトンだからな」
「さすがトラだなあ」
「どういう事??」

寅は酔っ払いの通称だ。
タンザナイトが花に過敏なら
タイガーアイは酒に過敏といったところか。

「もう、毒だと思ってセプタリアンに相談したら
ダイオプテーズに聞いてみろって追い返されたし」
「さすがドラゴンストーンだなあ」
「話が見えないんだけど」
「八塩折の酒ってのはね、伝説の酒だよ」
「すごく省かれてる気がするな……」
「『八』はたくさん
『塩』は醪を絞った汁
「折」は繰り返しという意味。
ちなみに普通の酒は醸造に水を使うけど
これは酒で酒を作っている超濃い酒だよ」
「な、なんでそんなすごい酒がうちに湧いたんだ…」
「私が聞きたいくらいだなあ、とりあえずこれどうすんの?
買い取っちゃっていいの?」
「タダで…と言いたい所だけどそれだと納得しないよな?
言い値で良いよ」
「いいねえ」
「聞いてたか聞いてないか判りにくい返事だな…」




彼が来るのは始めてではないが、単独で来店するのは始めてだ。
「やはりモンラッシェは良いな」
「王様同士なだけあるね」
「王になるつもりはなかったのだがな」
別の国王もそう言っていた気がするが
任務を果たすあたりやはり実力と人望
そして責任感があるのだろう。

最高峰の白ワインを嗜んでいるのは
毒々しい触手が背面を覆う食屍鬼セプタリアンである。
そのワイングラスを握る手は義手で
中身はよく動く毒針、詰まる所彼には腕がない。
脚も片方無い。
天災級の人災に巻き込まれ一度は何もかも失ったが
それでも折れずに復讐と復興を果たした。
人が彼に思いを託すのは自然な流れだろう。

「それにしても、やはり旨いな。」
「好きだねえ、なんだったら作らせてみたら?」
「軽く言ってくれるな、だがまあ、出来なくはないかもな。
条件を満たしていそうな地質もあるにはある」
「赤い方は既に造らせた事あるしノウハウも問題無しと」
「赤はな………聞いた話だと一部の者にしか
まともに飲まれていないらしい」
「並べて見れば同じなの判るのに、毒々しく見えちゃうんだね」
「ヒトの心理はそんなものだ…
だがまあ、否定しきれないのも確かだ。
私のこの体も毒化した環境に無自覚に育まれた物だ。
拒絶反応は防衛本能、飲めない者に罪はない」

クリアな面を見せ続けないとならないとは
濁りきったアザルシスでは酷な物だが
死地を乗り越え同士を募らせた彼に出来ない事は無いだろう。




この客は、実は初対面ではない。
その時はなんとなく、偶々、何かに釣られるように
此処にやって来たらしい。
「よぅ、マスター」
「ん?」
「俺が食屍鬼だって判っていたか?」
「どうだったかなあ
金払ってくれるかどうかの心配ばかりしていたからねえ」
「おいおい、ちゃんと払っただろ。
今回も勿論払うっての。
最近は懐も温いしな」

そんなわけで酒とつまみを追加した羽振りの良い客も
れっきとした食屍鬼。
今でこそ老眼の似合う好々爺然だが
当時は胡散臭い文字通りの二枚舌男であった。
癖と香りと度数の強い芋焼酎を淡々と飲む…

「この円くて平べったいの、旨いけど何?」
「練物を揚げたやつだよ」
「なんか、こう、料理名あるだろ?」
「どうだったかなあ」
「まったく、あんたといると調子狂って嫌になるぜ」

苦笑をすると、先が割れた舌がちらちら見える。
エモノを向けられ九死に一生を得た証であるスプタン。

「で、マスター。」
「ん?」
「あんた探し物してんだろ」
「どうだったかなあ」
「魔術商会に写本を鑑定してもらった訪問歴があるらしいぜ。
なんだっけ、両頬に豪快な縫い痕があったっていう食屍鬼…
エレスチャルか」
「それはどう云った経緯で知ったのかな」
「偽物騒動あったじゃねえか
その時身元を引き取った三姉妹がいんだよ。
幼い頃から魔術商会で働いてきて
マイカイの世話にもなっていた情報通からだぜ」

一瞬の間。

「……ど、どうした?
疑ってるアクションか?」
「なんで私に教えるのかなと」
「持つべき奴等が持つべきだろうって思っただけだ。
…あんたこそ、よく俺を信用できるな?」
「君は真実を言う時は舌を見せないんだよね、オパール」
「…ははっ、根拠弱えな〜。
まあ俺もあまりヒトのこと言えねえか。
まあいいや、『不二才』おかわりな。」

元遊び人の色男から想定外の情報を貰ってしまった。
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封が開けられない酒があるから専門家に解呪を依頼した。

「やあ、今日は階段で転ばずに済んだよ。」
「その変わり何もないトコで転んじゃったのね。」
「判っちゃった?
ふふふ、脚がちょっと痛いし早く座っちゃお。」

この、やたら猫背で顔色が悪く幸薄い感じの食屍鬼は
スーパーセブンという。
彼こそが貴重な解呪の異能力者である。

「で、例のモノは何処かな?」
「おっと、今出すね。」

ごとり、と目の前に置いたのは…

「あら?これって…」
「強い呪いが掛かってるみたいでさあ。
誰にも開けられないんだよね〜」
「そうかいそうかい…。
ところで、持ち帰っても良いかな?
これは手間が掛かりそうだから
私のパートナーに協力してもらおうと思うんだ。」
「どうぞどうぞ。
あ、ちなみに報酬はその酒で良かったかな?」
「構いませんよう、ではでは…」

にちゃあ、と粘度の高い気持ち悪い笑みを見せながら
酒を抱えて退店していった。

あれは呪われてなどいない
とんでもない集金額で買われた特撰の和酒である。
新婚・スーパーセブンは夫婦揃って仲間達から祝われたのだ。




「マスター、いつものヤツ置いたからな」
「はいよ、こちらもいつもの出しといたからね」
「あー、一本追加。今飲みたくなった」

着席もしないで酒を頼むのは
雪焼けの類の粗い肌焼けをした一際大きい食屍鬼シリシャスシスト。
諸事情で欠かせない肉を
彼から卸してもらっている変わりに、此方は酒を卸す。
何を出すかと言えばこれだ、50度以上はあるウォッカ。
今彼が追加要求したのもこれだ。
杯は出さずにボトルだけ渡す…

受け取るとすぐにボトルをひっくり返して
底を鷲掴み、捻り、開けた。
キャップなど無い、単純な握力で捻り開けたのだ。
底は握り潰され硝子の塵と化す。

「も〜普通に開けてもらいたいんだけどなあ」
「上だと飲み口が小さ過ぎる」

そのまま煽ってすぐに飲み干す。
型に囚われない飲み方だ。
いつものことながら再利用できなくなったボトルを
無造作に返されいつも困っている。

「ああ、そういえばね。末尾No.58のコが
『うち』のトコに入ったんだ」
「58?誰だっけ?」
「ほら、偽物が君の縄張りに来たじゃないか。
本物の方を保護したんだ」
「へー」
「反応が淡白だねえ」
「俺ぁ仕事しただけだ」

役目を果たしたボトルに酒代を入れ
それを此方に押し付け退店した。

「………ちょっと足りない。
あの人いつも細かい勘定が雑だよなあ」

なので素なのか敢えてなのかは今回に限って定かでないが
サービスをして建て替えておいた。




他に客もいるのに、この男は
周囲の雑音すら消してしまうんじゃないかと思うくらい
静寂が似合い哀愁が漂っている。

「最近飲みに来る回数増えたねえ」
「出先の用事が増えたからだろうな」
「すっかりビジネス側のヒトになっちゃったんだね」
「お互い様じゃないか?」

そのオッドアイはあまり目を合わせようとしない。
後天的に生えてきた?らしい緑眼により『見え過ぎる』んだとか。
視力云々ではなく、『情報』が見えてしまう。
そして『触れられる』。
神性(チート)に近いと言っても過言ではない。
そんな異能により人生を大幅に狂わされたのが
この食屍鬼フォスフォフィライトだ。

「……此処に居ると落ち着く。
昔を思い出す。」
「おや、楽しい思い出もあったんだ」
「波乱ばかりじゃないさ。
本を介して異界に渡った時の話だ」
「ああ貴重な司書時代」
「貴重……何もかもが貴重な体験であったな。
彼処では誰とも対等になれた。亡者ともな」
「死人と仲良くなれたって?」
「気づいたのは後からだった。
生者となんら変わらず、活き活きとしていたしな……
そんなのが何人もいた。
俺の周りには死人しかいないんじゃないかと思えるくらい。
……その時から俺の中の価値観や論理が
善くも悪くも崩れていった。
死霊術に手を伸ばし始めたのもその頃だ」

彼は、英雄的な働きをした一方で
同期の仲間を一度に失った過去がある。
繊細な性格にそれは相当堪える事案だったようで
難病を患ったのも相俟って心身瀕死の時期が
長く長く続いたという。

彼ももうヒトの域を逸脱したのだ。
だが精神がその力に追いつかず、崩壊を起こした。

琥珀色の酒を煽る、虎魄館の司書長……
あの大図書館にはアザルシス中の知識と歴史
そして彼の思い出に満ちている……




この男は無口だが、生前と違い飲食をしなくなったため
その口が開く事が失くなった…
と言いたい所だがやはり死んでも食屍鬼
修繕しきれない肉体を補うために屍肉を貪る事もあるらしい。

なんにせよ、来店しても同行している主含めて着席する用事はない。
だが注文はあるにはあるのだ。

「はい、ミサ用のパンとワイン」

一つ頷いて、現金とそれを交換する。

「うちでも色々産業しとるのだけど
何故だかクリスタルは此処で買い取ったもんしか供えないのよなあ」
「エリーちゃん、これは彼の教団でちゃんと聖別された
小麦と葡萄で作られてるのよ」
「へ〜え」

彼の主であるのに、相変わらず、潔いくらい、骨以外への関心が薄い。

「信心深い亡者もクリスタルくらいだよねえ」
「神聖な力使って自滅しないくらいには信心深いぞ」
「神に愛されてるねえ」

此方を見詰めるクリスタル…
鉄板付きのバンダナを巻いているため
影がかった半目で、威圧感が強い。腕っ節も強いが。

「丸で私のようだね」
「随分自信があるのう」
「皆そう思っているさ、無償の愛」
「ふ~ん」
「そうなるとエリーちゃんも神様みたいなもんだね」
「は?」

無自覚の主の肩を優しく引いて退店………
の前に、一礼を済ますクリスタルであった。

律儀な男である。
頷く度に頭がズレてしまわないか
傍から見ている此方の方が気になってしまう……
何せ、頭半分を横一文字に切り落とされて亡くなった身。
そんな亡くなり方をしておいて
生前の記憶そのままに死後の世界を過ごせているのだから
やはり愛する神に愛されてるとしか思えない。




グラスを磨いていた。
丹念に、顔がくっきり映るくらいに……

「今日はもう誰も居ないし来る予定は無いよ。どうだい?」

グラスに向かって独り言を言い放つ。

「そうだなあ………」

ドライジンにドライベルモットで………

「こっちにしようか」

シェイクし、パールオニオンを添える。

「はい、ギブソン」

パールオニオンが沈んだ、微かに白濁したカクテル。
グラスを置いて波紋が立つ…
少しすればそれはおさまり、水面が平面となり
鏡の様に顔を映し出す。

ただ、その顔には鼻上の横一文字痕が無い。

「レコから君の事はよ〜く聞いてるよ、カコちゃん」

途端に、目の前に着席する者が現れた。
その顔色の悪い顰めっ面は
食屍鬼を鏡合わせをしたかのように反転している。
彼もれっきとした食屍鬼で、名はカコクセナイト。

「『あっち』にはだいぶ馴染んだかな?」
「まあな…」
「博士とは聞くまでもないか」
「うるせえな…」
「そろそろ殺した数より救った数のが上回って来たかな」
「さあな…」

無愛想に返すが、実は聞くまでもなく成果が出ているのは
レコードキーパーから聞いている。
苦痛がまとわりつく荒んだ出生から
今や静かに酒を嗜められる大人になった。
彼は異界で、安息と医術を博士から学んだのだ。




「よく来れたよねえ」

そう言いつつカクテルを差し出す。
相手は食屍鬼、ユークレース。
移植痕だとはっきり判る直線的に荒れた肌、ボサボサの長髪。
対して首から下は最高級のスーツを
ぱつぱつになりながらも着こなしているという
ちぐはぐファッションである。

「偶々だ、中心地に何があるかと興味が湧いて
辿ったら此処だったってだけ」
「中心地?」
「ん?
立地上、風水的にも年代的にも統一された規則性があって
尚且つそれで形成された円陣が出来ているとなったらなあ。
次に気になったのはあっちの廃ビルだな。
直線的に丸きり意味のない空間が存在してるから
妙で気になんだが、入る隙間無くてさすがに行くの諦めた。
誰かを迎え入れる風ではあったんだがなあ」

これである、有識者なら誰しもが当てにしたくなる
彼の潜在的な恐ろしいまでの数学力。
魔術や空間術等は専門外だが、彼は演算で答えを導き出すし
割り出して表明化した式を専門家が逆輸入することも度々ある。

「ところで、何の帰りだったの?」
「それが……覚えてねえんだよ。
気づいたらタクシーに乗せられていたんだが
帰り道も判らんから、何かの報酬額の7割位を
ドライバーに渡してから飛び出して此処に……
って流れだ」
「リッチな乗客だねえ」

彼は、記憶力が壊滅状態なのだ。
特異な出生で、手荒な手術を受けた際に
脳を激しく揺さぶられたせいで記憶障害を起こしたとかなんとか。

「それにしてもこのカクテル旨いな
どういう内容なんだ?」
「黒ビールにシャンパンを混ぜた物だよ
ブラックベルベットっていうんだ。
君なら馴染みのある味だと思ってねえ」
「どういうわけか確かに馴染みがあるな?」
「多分私の次に作るのが上手い人が出し続けたからじゃないかな」

味覚は記憶に刻まれるものだ。
ダイオプテーズの次に作るのが上手い人は
ユークレースがこの後最寄りのホテルで寝込んでいる所を
拐いに遣ってくるだろう。




ダイオプテーズはよく
何を考えているか判らないと言われるが
この男もなかなか…負けず劣らずそう言われるようだ。

リクエストされたカクテルを作り、差し出す。
それは非常に美しい茜色をしており
ウォッカベースにメロン、フランボワーズリキュールに
パインジュースととても甘くさわやかなカクテルで
フルーツのデコレーションがあるので
見た目にも華やかで明るいカクテルだ。

注文した客はそれを一口そっと呑み、静かに頷く……

「暑い夏の甘酸っぱい思い出の味………」
「うん、女性ウケは良いね」
「やはりか」
「味の話ね」

人によってはビンタされかねない
極めてセクシーなカクテルである。
この食屍鬼はどういうわけかこういった色物を
密かではなく公にしかし静かに嗜む傾向にある。
ブラックスターという名が示す通り
黒いキャスケット帽と黒コートがトレードマーク。

「やはり他の食屍鬼もここの旨い酒を楽しみにしているのかい?」
「お陰様で」
「……食屍鬼のフリをしている奴は?」
「65人以上の同じ顔は今の所見てないよ」
「そうか……」

そしてまた一口呑む。
渋い顔をより一層渋くしながら

彼の素顔は『こちら』なのだろう。
ちょっとスケベでクールな黒星は表向きの面にて
意志とともに引き継いだ面。

彼はゆっくり、ゆっくり雪辱を果たしている最中だ。
復讐心を煮えたぎらせながらも
亡き人の癖を引き継ぎ、演じている。
だから真意が判りにくい。
ダイオプテーズは曲者だが、彼は癖を被った真っ直ぐな男だ。




「はひぃっはひっ………
ああああんた助けてくれえええっ」
「ようマスター、一杯引っかけに来たぜ」

来店してきたのは食屍鬼ラピスラズリ。
眼鏡の下の眼が物語るように、悪童と名高い強かな男だ。

そんな彼が手に持つのは『人の生首』である。
額に札を貼られており、食屍鬼程ではないが
青褪めた顔で此方に助けを乞う、人間の中年。
生きた心地はしていないだろうけども
あれで生きているのだ……

「騒がしいねえ、とりあえず席について」
「『こいつ』どうしよ」
「私が聞きたいくらいだけど、そうだねえ。
転げ落ちてもなんだし、今皿持ってくる」
「ひゃははは皿だってよ!
何だっけそんな豚肉の郷土料理あったよな!
丁度いいや、ソコの酒持ってきてくれよ」
「ひぃぃいい喰わないでくれえええっ」
「食わねーよバーカ!」

膝を叩いて笑う。
札はラピスラズリの異能により作られた物で
それを貼っている間は体がバラバラになっても生き続けるという
呪われた札だ。逆に言えば、剥がした瞬間に死ぬ。

「『今度は』何があったのかな」
「あ?
こいつがよお、ルチルを利用した癖に
店を持ち直した途端手の平返しやがったから
腹が立ってバラしてやったんだ」
「あらら」

彼の親友ルチルによる呪いは
程々に作用させればその集客力から店の持ち直しに貢献できる。
それをあえて利用する者も少なからずいて
この生首中年もその一人。

「ゆ、許してくれ助けてくれ頼むっ」
「そうは言われてもねえ。
ちなみに首から下は?」
「手足とはらわたバラしてクーラーボックスに詰めといた」

数ヶ月前に調子が悪いと聞いていたような。
鮮度に不安が残るが、あるにはあるようだ。

「それじゃあ分割払いしたらどうかな」
「ぶ ん か つ」
「呪いも生き物みたいなものでしてねえ
手伝ってもらったらお返ししてやらなきゃ」
「そうだ、お前は楽して持ち直そうとしたから悪ぃんだ。
借金するか、借金が嫌ならハラワタ売ってでも工面しな!
今なら膵臓がトレンドだぜ」
「酒が飲めなくなっちゃうよ」

食屍鬼達の不気味な酒宴に巻き込まれるこの中年
自業自得とは言え少々気の毒ではあった。




「有り金全部出しな!!」

その食屍鬼の初対面の第一声がそれだった。
その手に合う大きめの……
何処かしらの軍が牽制のためにしかし人間相手ならば
脅威的な威力になるであろう口径の拳銃を向けてきた。

「いやあ、そんな名前のカクテルあったかな」
「あぁ?!
ふざけてんじゃねえぞ、死にてえのか?!」

怒号と共に再度銃口を突きつける。

「ん〜、多分それ撃たれても私は死なないと思うな」
「…なんだと?」
「でもどんな弾入れてるか判らないから一応防衛するね」


手元のアイスピックを投げると
ジャストフィットで刺さり銃口を塞いだ。
「で、どうするんだい?
銃の損害分として一杯奢るよ?」
「ちっ…なんなんだあんた……」

観念したのか、使い物にならなくなった銃をしまい
カウンターに着席…なかなか調子の良い男だ。


この食屍鬼はフォスフォシデライトという。
当初は普通に勤務していたが、冷遇に嫌気が差し
物を盗んでは燃やして逃げ、物を盗んでは燃やして逃げの
泥棒旅で過ごしていた。
先程ダメにした物も盗品だし、伊達眼鏡も盗品。

「蝗みたいな生活してるんだねえ」
「よく言われるが、俺ぁ物だって人だって
食い潰してやるからな」

差し出されたカクテルを飲みつつ…
威勢のいいセリフも、カクテルの旨さにより遮られた。
三種のリキュールをステアした、三種の旨味を味わえる
そんなカクテルに舌鼓…

「それにしても今までよく生きてこれたねえ」
「あぁ?あんた、俺の事なめてんな?
その気になれば抗いようの無い異能で苦しませれるんだぜ俺は」
「奇遇だねえ、今まさに私も条件満たしたから私も出来るよ」
「え?」
「饗した者を掌握するの。抗いようの無い死に至る苦痛を与えて。
試してみる?」
「じょ、冗談じゃねえ!
ハメやがったなこの野郎!!」
「おとなしくしていれば普通に酒作って呑んでもらうだけだよ。
おとなしくしていれば」
「ちっ…本当なんなんだあんたは………」

驚愕の事実を聞かされて尚…或いは無意識かもしれないが
酒をまた一口呑む。
昨日の敵は今日の友といったものだが
強盗でも同胞でも客と見做せばダイオプテーズは酒を作り続ける……




食屍鬼ダイヤモンドは
ストレートなスタンダードタイプではあるがやや大きい。

「討ち取った相手を喰らう、を
当時頻繁に実行していたからな」
「君の存在が知れ渡る前は国境間の治安最悪だったもんねえ」
「最底辺だった」

最底辺を乗り越えた者。
他に同胞や仲間がいなかった訳ではないが
確固たる強さを持つ彼が先頭に立つ場面があまりにも多すぎた。
今も治安は褒められた物ではないが
それでも人喰いする必要頻度が激減し血腥さも薄れ……

「出番も減ってきたかな?」
「今の主役はお前達のような生産性のある個体だ。
俺は不器用だ、直したり作ったりはできん」
「まあねえ」

ウォッカ・ベルノをまた一口飲む。
非常にゆっくりしたペースで飲むため
ロックグラスに当たる氷の音も微かなもの。

「ヒトを動かすことは?」
「もっと苦手だ。
誰をどう動かせば良いか、どう動くかなんて判らんよ」
「管理職皆そう思ってるよ」
「そうか?」
「予測はあくまで予測だよ。
自分が思ってるよりヒトは働くし或いは働かない。
だから君の言う事は案外的を得てるかと」

そういう物なのか?と眉間に皺を寄せ
渋い顔を更に渋くしながら酒を飲む…

「でもねえ」
「………ん?」
「不動ってそもそも難しいんだよ。言い換えれば安定してる。」
「ふむ………」
「生産性と言えばさ、奥さんとはどうなの」
「やめろ、また唐突に………」

渋い顔のまま頬染める。
不動不変の名を持つ男、これからも変わらないでほしい。
今日はまた一段と盛況している。
バイトの夜鬼三人組に助けを乞う。
彼等はこういった繁盛時にだけ来る
限定的な雇用体制の間柄……

「普通に雇わないのか?」
「あの子達は本当三人一緒になって何かするのが好きだなあ」
「ふむ、職場に縛られたくないんだな」
「あのまま緩く過ごしてもらいたいもんだ。
『こっち』はまだまだ早い。」
「ああ………そうか。
あまり見せる物ではないな。
という事はまだまだ霊視も出来ていないのか」

今日いる客達も夜鬼も、霊感が無い。
それは一般アザルシス民らしいとも言える。

大きな独り言をしているフリして会話を交わしていた相手は
食屍鬼ガーネット。彼もまた亡霊である。
姿が見えていた所で食屍鬼とは判りにくい。
何せ服は余りに余る程極度まで痩せ細り
背丈に至っては未成人体個体衆『ぶれーめん』達より低い。

現に、あの日偶々視えていたサーペンティンも
同胞しかも大先輩相手だと判っていなかった。

「ふふ、そういえばサーペンティンには驚かされたな。
妙な個体が来たなと興味本位で近付いたらあの有様だ。
油断し過ぎた俺が悪いだけだが」
「サッちゃんはイイ子だったな〜
まだまだ幼女なのに、保護者の教育が良い例だね」
「保護者…『鐵の嘴』の連中か。
本当に優秀な奴等だ。
人間に洗脳されているのだけは気に食わんが。
本来リーダーであったグアノが生還していたら
待遇も政権ももっと整っていただろうな。
連中の保護下にいる国民は砂漠の横にいるという
危険意識が甘過ぎる」
「偉いよね〜。
あの国は砂漠化も堰き止めてるから
それでお隣ともぎりぎり巧く付き合えてる」
「本当ぎりぎりだ……
縄張りを襲撃した罪深さと、呪いの脅威を忘れた愚かさよ。
戦争と厄災が同時に起こりかねなかった。
『牙』の連中の懐の深さと、スーパーセブンの補助には
永年感謝すべきだ。」
「支援者には常に感謝してやらないとねえ」
「………ふっ、同胞の話となると話題が尽きないな。」

客から追加注文が入り、手配を済ます。

「マスター、今日なんか独り言多くない?」
「いつも通りだよ」
「マスターいつもよくわかんないのは確かだけどさ〜」
「ま、ちゃんと手は動かしてるから良いのさ〜」

無邪気に笑いながら酒やつまみを配りに戻る夜鬼達。

「…やはり俺が視えていないようだな。」
「いつも通りね」
「俺の死後も問題なく世界は動いている…
そうなるように商会と『ウロボロステイル』を設けたから
良いと言えば良いが……」
「お陰様で」
「…お前達現役と同じ舞台に立てない事が
悔いはないと言えば嘘になる。」

酒を呑む手が完全に止まった。
人工的に設けた社会の輪廻は生き続けているが
自身はその輪廻に加わる以前に亡くなった事を
悔やみ続けていた。
もっと生きていたかったのだ。

「泣いて怒る妻を諭して突き放すのも
骨が折れたものだな。
ポムグラネイト家も今何世代になったのだろうな。
エニアは生き過ぎて目安にならん。」
「女殺し。」

と言って差し出したカクテルは
チョコレートムースのような色をした
香ばしいかおりが特徴的なショートカクテルだ。

「…いつの間にシェイクしていたのか。
なんという酒だ?」
「アレクサンドラ。」
「王女の名を模ったレディーキラーなあ……」
「こうして色んな酒が作れるのも
色んな卸先を確保出来たからだね。
異界、過去、死後の世界、様々な経由を経た物を使ったから
私も様々な客層に提供出来ている。」
「……………なあ、イオ。
お前は生きているのか?死んでいるのか?
食屍鬼なのか?神なのか?」
「神を生み出すのはヒトかもしれないけど
私が生み出せるのは酒だけだねえ。」
「………聞くだけ野暮だったな、ふふ」



最後の客が帰った。
と思った矢先に、若い女性が入ってきた。

「あら、札返す前に来ちゃったか。
ラストオーダー〆ちゃったんだけどなあ」
「い、いえ……あの、私お酒を飲みに来たわけではなくて……」
「酒場に来てそれはなかなか面白いジョークだねえ。
何処のお嬢さんかな?」
「お嬢さんだなんて、私30代で既婚なのですが…
でも名乗らないと素性も判ってもらえませんよね。
私、ノア・ポムグラネイトと申します。
商談中に偶々此処を知ったので思わず……」
「へえ、どんな話の流れだったやら」
「まあそっちの話はいずれ……
私の名前、先祖の方と同名らしいのですが
再婚する以前の…本来の夫がガーネットという方のようで。
すごく昔の話なのですが、とても愛し合っていたのに
別れた経緯とか、色々な事が気になってですね……
此処なら食屍鬼の話も聞けるかなと思い…」
「なるほどなるほど。
まあ君の知ってる話ばかりになるかもしれないけど
それでも良ければ出直してからおいで。
ゆっくり聞かせてあげるからさ。
どんな人でも美味しく飲める酒を作りながらね。」
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