蟹〜
扉を開けた。
異形だらけ時々軍人被れのような者がいる中
何かを庇うように皮膜を大きく立っている異形だけを狙い
土手腹を貫く、太く圧縮された閃光を僕は放った。
「てめぇ?!」
銃火器を構えられたのを見て僕はすぐに扉を閉じた。
幾多もの発砲音と着弾音。
弾が貫通しだしたのを皮切りに扉を壊して取り外す。
「行くぞ、狙う者と抗う者は皆討て!」
「お、おうよ!」
扉を盾に見立ててチャージ(体当たり)……
と見せかけて適当に放り投げ、視界を遮った所で
銃火器や腕を撃ち落としたり撃ち抜いたり。
無力化した所でノゼアンが追撃。
混乱する現場の中、僕は『何か』を抱えて逃げようとする者を追う。
「そこまでだ。」
「ひっ」
相手の後方から襟首を掴み、そのまま全身持ち上げる。
それでも尚しっかり抱えて離さない物……
いや、者であった……!
「貴方は…」
「ブラックスター、そいつ死んだふりしてるぞ!
『札』が付いてる奴は死んでねえって親父が言っていた!」
「だと思った、僕は初めて見たが強い力を感じるよ。
…改めて、貴方は元王子でしょう?
王から聞いた事があります、左頬にわざと付けた一文字の切り傷。」
札を捲ると見える傷痕、毛色と瞳も元国王と同じ。
世界的に見ても一級の国賊、名はゴヨク。
「王だって?けっ、ヒトの住まい侵略したヒト喰いのくせによ。
死に損ないめ。」
「それは貴方もそう、首から下は何処に?」
「決まってんだろ、ギベオンの腹の中だボケ!!」
生首だけなのに威勢が良い。
蒼い文字で書かれた呪いの札により得た、仮初の命。
こんな姿になっても生き長らえたいのか………
「元王子って、どういう事なんだ?」
「『縢りの手』前国の王族さ。だが前国が滅びた元凶でもあるんだ。」
「なっ?!く、国を………?!」
「世界的に見ても一級の国賊、名はゴヨク。」
さすがのノゼアンも驚愕の事件…いや人災であったようだ。
「な、なんでそんな派手な真似したんだ?」
「セプタリアンが、あの野郎が大嫌いで憎かったんだよ!
それなのに国中に好かれるし、あの野郎が作った規律が優先されやがって!
奴の手垢で塗れた国なんてクソ喰らえってな!!」
呆れて声も出ない僕をさし置き
同じく呆れているノゼアンが先に口を開く。
「まあ壊したり奪ったりする方が楽だわな…」
「ケッ、何判ったつもりでいんだ。
てめぇも人食いのくせによ!」
「あ?…あ〜………」
肌を触って思い出したようだ。
そうだ、今の君は青肌スキンパックを付けて
自称食屍鬼ノゼアンだ。
元王子もこれしきの見分けがつかないとは
食屍鬼への理解が浅すぎる…
「…まあある意味ヒトを食ってきた身だから違いねえか。
それで、俺が人食いならてめえはなんだ?
クソ喰いか?」
「んだと?!」
「あんたから羨ましいトコも盗みたいモノも無え。
魅力が無えんだよなあ。」
「クソ青猿が知った風に調子に乗んじゃねえ!!」
「魅力、かどうかはともかく異能は持ってるんじゃないのか?」
ヒートアップする前に割って入り、話題をすり替える。
「細かいカラクリまでは把握していないが
あの空間の幻覚を見せる異能、貴方の力なのだろう?
それを買われて『繭』の下っ端に成り下がった。」
「は?この状態で?」
「異能と一口に言っても幅は広く奥が深いのだよ、ノゼアン。
…だとして、当時のセプタリアン氏を中心に
人々の目を欺き、壊れたままのシェルターを隠蔽したのも貴方だろう?」
減らず口は何処へやら。
今更隠す事でも無いだろうに、口を濁してばかりだ。
「素より縢る手もなく、変化に対応もできない哀れな者よ。
裁定は王に任せる。
くたばれ」
異形だらけ時々軍人被れのような者がいる中
何かを庇うように皮膜を大きく立っている異形だけを狙い
土手腹を貫く、太く圧縮された閃光を僕は放った。
「てめぇ?!」
銃火器を構えられたのを見て僕はすぐに扉を閉じた。
幾多もの発砲音と着弾音。
弾が貫通しだしたのを皮切りに扉を壊して取り外す。
「行くぞ、狙う者と抗う者は皆討て!」
「お、おうよ!」
扉を盾に見立ててチャージ(体当たり)……
と見せかけて適当に放り投げ、視界を遮った所で
銃火器や腕を撃ち落としたり撃ち抜いたり。
無力化した所でノゼアンが追撃。
混乱する現場の中、僕は『何か』を抱えて逃げようとする者を追う。
「そこまでだ。」
「ひっ」
相手の後方から襟首を掴み、そのまま全身持ち上げる。
それでも尚しっかり抱えて離さない物……
いや、者であった……!
「貴方は…」
「ブラックスター、そいつ死んだふりしてるぞ!
『札』が付いてる奴は死んでねえって親父が言っていた!」
「だと思った、僕は初めて見たが強い力を感じるよ。
…改めて、貴方は元王子でしょう?
王から聞いた事があります、左頬にわざと付けた一文字の切り傷。」
札を捲ると見える傷痕、毛色と瞳も元国王と同じ。
世界的に見ても一級の国賊、名はゴヨク。
「王だって?けっ、ヒトの住まい侵略したヒト喰いのくせによ。
死に損ないめ。」
「それは貴方もそう、首から下は何処に?」
「決まってんだろ、ギベオンの腹の中だボケ!!」
生首だけなのに威勢が良い。
蒼い文字で書かれた呪いの札により得た、仮初の命。
こんな姿になっても生き長らえたいのか………
「元王子って、どういう事なんだ?」
「『縢りの手』前国の王族さ。だが前国が滅びた元凶でもあるんだ。」
「なっ?!く、国を………?!」
「世界的に見ても一級の国賊、名はゴヨク。」
さすがのノゼアンも驚愕の事件…いや人災であったようだ。
「な、なんでそんな派手な真似したんだ?」
「セプタリアンが、あの野郎が大嫌いで憎かったんだよ!
それなのに国中に好かれるし、あの野郎が作った規律が優先されやがって!
奴の手垢で塗れた国なんてクソ喰らえってな!!」
呆れて声も出ない僕をさし置き
同じく呆れているノゼアンが先に口を開く。
「まあ壊したり奪ったりする方が楽だわな…」
「ケッ、何判ったつもりでいんだ。
てめぇも人食いのくせによ!」
「あ?…あ〜………」
肌を触って思い出したようだ。
そうだ、今の君は青肌スキンパックを付けて
自称食屍鬼ノゼアンだ。
元王子もこれしきの見分けがつかないとは
食屍鬼への理解が浅すぎる…
「…まあある意味ヒトを食ってきた身だから違いねえか。
それで、俺が人食いならてめえはなんだ?
クソ喰いか?」
「んだと?!」
「あんたから羨ましいトコも盗みたいモノも無え。
魅力が無えんだよなあ。」
「クソ青猿が知った風に調子に乗んじゃねえ!!」
「魅力、かどうかはともかく異能は持ってるんじゃないのか?」
ヒートアップする前に割って入り、話題をすり替える。
「細かいカラクリまでは把握していないが
あの空間の幻覚を見せる異能、貴方の力なのだろう?
それを買われて『繭』の下っ端に成り下がった。」
「は?この状態で?」
「異能と一口に言っても幅は広く奥が深いのだよ、ノゼアン。
…だとして、当時のセプタリアン氏を中心に
人々の目を欺き、壊れたままのシェルターを隠蔽したのも貴方だろう?」
減らず口は何処へやら。
今更隠す事でも無いだろうに、口を濁してばかりだ。
「素より縢る手もなく、変化に対応もできない哀れな者よ。
裁定は王に任せる。
くたばれ」
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