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建物は多いくせに人が少なくて妙な寒気が漂っている。何なんだ此処は。
下水や街灯が機能している辺り無人じゃあないと思うんだが、今は逆に困るな。
温かい飯と情報が欲しいんだよ。

…これは、匂う。アルコール、微かに紛れた脂、諸々。
何より其処は灯りが付いている。
階段から下がった、他だと地下に当たる位置に酒場があった。


…ヒトがいるのを確信した途端、出会い頭につい癖で金を要求したが
今はむしろ金以外が欲しかった。
まあこのでかめの拳銃で脅せばなんか出すだろう。
例え相手が食屍鬼でもだ。

「いやあ、そんな名前のカクテルあったかな」

あぁ?!ふざけてんのは表情だけにしとけよこいつ?!
鼻の上の傷かっぴろげてやろうかおいゴルァ?!
再度銃口を突きつけるが反応に代わり映えが無い。

「ん〜、多分それ撃たれても私は死なないと思うな」

いやいや、いくら丈夫でも当たりどころってもんがあるだろ?!
「でもどんな弾入れてるか判らないから一応防衛するね」

何か尖った物を投げた、のは判るが物の名称は判らないし何よりなんだあの速さ?!
とにかくその尖った物が銃口を塞いで中まで深く刺さっちまった。
もう使い物にならねえなこれも…
ていうか、俺に当たっていたら死んでなかったか…?

「で、どうするんだい?銃の損害分として一杯奢るよ?」

なんなんだこいつ……舌打ちしつつ、俺は流されるように着席した。
ヒトって諦めがつくと妙に素直になれちまうんだな。
元々、俺が欲しかったのは温かい飯と情報だ。


フォスフォシデライトという名前を明かしたのも久々だ。
ああ話が止まらない、おかしいな…逆に情報出してねえか?
工場勤務に嫌気がさして火をつけて逃げた事から始まり
強盗で食い繋いで旅している事まで喋っちまった。

「蝗みたいな生活してるんだねえ」

差し出されたカクテルを飲みつつ会話を…え、なんだこれは、今まで酒とは次元が違う…
いやビビるな、主導権をこれ以上こいつに握らせるな、俺…!!

「それにしても今までよく生きてこれたねえ」
あぁ?こいつ俺の事なめてんな?俺には異能があんだぞ?
そうだ今まさしく呑みながら室温を奪っていた所だ。
じきに凍えてちびりながら侘びてくるだろう。
「奇遇だねえ、今まさに私も条件満たしたから私も出来るよ」

え?
「饗した者を掌握するの。抗いようの無い死に至る苦痛を与えて。試してみる?」

じょ、冗談じゃねえ!ハメやがったなこの野郎?!
「おとなしくしていれば普通に酒作って呑んでもらうだけだよ。おとなしくしていれば」
本当なんなんだこいつ……でも酒が旨いからつい呑んじまう。
ダイオプテーズと名乗ったこの食屍鬼、食屍鬼のための憩いの場を設けたと言っている。
酔狂って言葉はこいつの為にあるんじゃねえのか?
これは…ああ、ハムはハムでも人肉のハムだなこりゃ。
獣肉には無い筋っぽさを巧く誤魔化し旨くしている。
通しと同時に色々有用な話を聞けてしまった。
味方とは言い難いが、敵でも無いなこいつは…
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